「きっと犯人が遠くに持ち運んだに違いない!」 鈴木は思いついたことを口にしてみた。 「…………犯人って、誰?」 鈴木の考えに田中は思わず呟いたが、鈴木は迷うことなく真っ直ぐに答えた。 「女子高生連続殺人犯だ!」 このとき、田中は初めて気づいた。 あぁ、鈴木ってミステリーマニアだったんだ…… 「……鈴木、それじゃぁ私の身体はどうなっちゃうの……」 あまりにも予想外の展開に田中は言葉を失いかけていたが、やはり未練なだけはあって自分の身体の心配をした。 田中の質問に対して、鈴木は真剣な顔で呟いた。 「死体の身元が分からないようにバラバラとか、焼くとか……変死体なのは確実だな」 田中はいろんな意味で泣きそうだった。 「……それって、私の身体は見つからないかもということですか?」 これじゃぁ、成仏出来ないじゃんとか思っていた田中に鈴木はさらっと本気の言葉を返した。 「いや。見つかるさ」 「はい?」 一瞬、鈴木が慰めの言葉として返してくれたのかと思ったが、彼は本気の目をしていた。 慰めではなく本気だった。 「俺が見つけてやるさ。その犯人を!」 何度も言うが、彼は本気だ。 すっごく本気だ。 「鈴木? 犯人じゃなくて、私の身体なんだけど……」 田中もなんだかずれたところに突っ込んでいるが、鈴木は真面目な顔で答えを返した。 「犯人が見つかれば、オマエの身体の居場所も分かる。一石二鳥だ」 しつこいようだが、彼は本気です。 「……見つかるんなら、いいか」 そして、田中は相変わらず微妙にずれた考えだった。 こうして、幽霊少女とミステリーマニアという奇妙なコンビの捜査が始まったとか始まってないとか。
おわり。 |