くえすと1.正しい勇者の選び方

 幼い頃交わした約束。
 ずっと一緒だと思っていた幼なじみが引っ越すことになった時、小指を絡めて約束した。
「ぜったい、また会おうね」
 大事な幼なじみで、大切な親友。
 再会を約束し、親友は小さな村から去っていった。
 それから一年もせずに、少女も村を去ることになった。
 国の外れの小さな村から、最も活気のある城下町へと移り住むこととなった。
 幼なじみの二人は、どちらも父親の都合で小さな村をあとにした。
 一人は父親である魔王が殺されたから。
 一人は父親である勇者が城下に呼ばれたから。
 二人の少女はそんなことを知らずに数年の時を過ごした。
 現在、人間たちは魔王がいたことなど忘れ平穏な日々を送っていた。幼なじみだった少女たちも十三になり、勇者の娘であったマリュ=グラウニーは新学期を迎えていた。

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