一周年企画
「裕太くん、おはよう」 「おはよう!朱夏!!」 部屋に入ってきた少年に少女は嬉しそうに笑いかけた。 白く、何もない部屋。 ただベッドと小さな棚があるぐらい。 そう。その部屋は病室だった。 小さな病院にある、入院患者用の個室だった。 少女―朱夏は重い病気だった。 少年―裕太にはどんな病気かわかっていない。病名を聞いても何もわからないくらいの子供だった。 朱夏としては何も分からないでいて欲しかった。 裕太を弟のように可愛がっている朱夏としては、心配をかけたくなかった。 朱夏の病気が99%治らないと言うことを知れば裕太はきっと今までのようには接してくれないだろう。 「朱夏、朱夏の病気はいつ治るんだ?」 裕太は朱夏を楽しそうに見つめていた。 「な……なんでそんなこと聞くの?」 治らないと言われている病気なのに、いつ治ると聞かれて朱夏は答えられなかった。 ただ、話を別の方向に持っていこうとするので精一杯だった。 「だってさー……俺、朱夏とどっかに遊びに行きたいんだもん。だからさ、早く病気治しちゃってよ!」 それを聞いて朱夏は戸惑った。 この病気は治らないと、一緒に遊びになんて行けないと言ってしまえばどれだけ楽になれるだろう? でも…… 朱夏はもう一度真っ直ぐに裕太を見た。 どうしてこの子にそんなことを言える? 正直に全てをうち明ければ楽になれる。嘘も吐かなくて済む。けれど…… 「……そうだね……」 どうして私はYESと言ってしまったんだろう…… 「マジで?やったね!!」 隣で裕太が嬉しくて飛び跳ねているのが朱夏にもわかった。 だが、朱夏はそんな裕太をまともに見れなかった。 「……でも……条件付きね。」 見なくても裕太の動きが止まったのがわかる。 「あなたのお願いを聞いてあげる代わりに……私のお願いも聞いてね?」 それを聞き裕太はホッと安心したように息を吐いていた。 「なーんだ、そんなことか。どんなすごい条件出されるかと思ったのに」 裕太は元気を取り戻してまた朱夏を嬉しそうに楽しそうに見つめた。 「それで?朱夏のお願いってなに?」 朱夏は裕太を見ず、窓の外、遠くを眺めるように言った。 「私の……猫を探してきて欲しいの……」 ではでは、読者の皆さんに猫を探してきていただきますv |
と言う企画をやりました。
今はもう猫にリンクは貼ってませんvv